前回の連載(第2回)では、省エネ・気候変動分野の研究における成功要因は、エビデンス重視型かつ分野横断型のアプローチであることを、インタビューを通じて確認しました。
そこで、研究事例紹介の第1弾として、エビデンス重視型かつ分野横断型のアプローチを取ることによってパーソナル・ナッジの実現を目指した一連の研究成果にスポットライトを当て、このようなアプローチの重要性や、研究成果の社会的なインパクトを三浦輝久氏(電力中央研究所 上席研究員)、服部俊一氏(電力中央研究所 主任研究員)、澤井大樹氏(イデアラボ 代表取締役)、および伊藤言氏(イデアラボ 研究員)へのインタビューを交えて6回(第3回~第8回)にわたって考察していきます。

画像はイメージです
今回ご紹介する一連の研究は、2018年から2019年にかけてBECC JAPANで発表された4つの研究成果が題材となっています。この一連の研究では、パーソナル・ナッジの実現に向けて次の3つのことを明らかにすることを試みています。1つ目は、省エネ行動のメカニズム(どのようなときに省エネ行動は実行されるのか、されないのか)。2つ目は、省エネ意識・行動の個人差(省エネ意識や行動にはどのような個人差があるのか)。3つ目は、省エネ行動に有効なナッジ(省エネ意識・行動の個人差によって、ナッジの効き方にどのような違いが出るのか)です。
第3回目の今回は、一連の研究のうち1つ目の省エネ行動のメカニズムを明らかにした研究事例(※1)を対象として、「どのようなことが明らかになったのか」、「メカニズムの解明のために、どのようにアプローチしたのか」、そして「どのような社会的なインパクトが期待できそうか」の3点を考察していきたいと思います。
全文は有料会員にログインしてお読みいただけます。
残り 63 %