前回述べたように、現在のところ木質系バイオマスの圧倒的部分は直接燃焼を経由して熱や電気に変換されている。木材をガス化したり、液体燃料にする技術は、それだけでコストが嵩み、安価な天然ガスやガソリンが出回っているうちは出番がない。当面、市場競争力が強いのは、簡単な前処理だけでバイオマスをほぼそのまま燃やす直接燃焼である。
直接燃焼の技術としては、固定床燃焼(fixed bed combustion)、流動床燃焼(fluidized bed combustion)、微粉物燃焼(pulverised fuel combustion)の3種類があるが、いずれも成熟段階に達していると見てよいであろう。というのは、エネルギー変換効率90%以上を達成し、同時に燃焼に伴う環境汚染物質の排出を極小化することに成功しているからである。どの技術方式を選ぶかは、熱や電気の出力規模と、投入されるバイオマスの種類によって決まってくる。