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木質バイオマスのコスト比較:熱併給と発電

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熱軽視のエネルギー政策

最初の講義で触れたように、2010年の時点で広い意味でのバイオマス(IEA統計でいう「生物燃料および廃棄物」)は、先進国(OECD加盟国)においても、一次エネルギー総供給の4.9%を賄っている。再生可能なエネルギーの中でこれに次ぐのは水力発電だが、大規模水力を含めてそのシェアは2.1%ほど。風力、太陽光、地熱などその他の自然エネルギーは全部合わせても1.2%くらいにしかならない。

にもかかわらず再生可能なエネルギーと言えば、風力や太陽光、地熱などが前面に出てきて、バイオマスの影が薄い。こうなった理由の一つは、電力を重視し、熱を軽視する各国のエネルギー政策にあると思う。総エネルギー消費の40%前後が暖房や給湯などの熱供給に向けられていることを考えれば、片手落ちと言うべきだろう。バイオマスの得意分野は熱供給であり、実績でもそうなっている。

ところが発電が政策的に優遇されるとなれば、多少無理をしてでもバイオマスで発電しようという動きが出てくる。わが国でもFITの制度が発足して、バイオマスでつくった電気がかなり有利な固定価格で販売できるようになった。5~10MWないしそれ以上の本格的なバイオマス発電所を建設する計画が全国のあちこちで持ち上がっている。欧州ではこうした「発電先行」の考えに疑問を呈する向きが少なくない。その根拠となっているのは次の三点である。

(※全文:5,575文字 画像:あり 参考リンク:なし)

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この記事の著者

熊崎 実(くまざき・みのる)

 1935年岐阜県生れ。農林省林業試験場(現・森林総合研究所)林業経営部長、筑波大学農林学系教授、岐阜県立森林文化アカデミー学長を歴任。現在は、筑波大学名誉教授、日本木質ペレット協会会長、木質バイオマスエネルギー利用推進協議会会長。専門は国際森林資源論、農学博士。

 著書に『林業経営読本』(日本林業調査会)、『木質バイオマス発電への期待』(全国林業改良普及協会)『木質エネルギービジネスの展望』(同左)、『木質資源とことん活用読本』(編著、農文協)ほか。訳書に『日本人はどのように森をつくってきたのか』(C.タットマン、築地書館)、『樹木学』(P.トーマス、築地書館)ほか多数。

 木質バイオマスエネルギー利用推進協議会への相談は「info@w-bio.org」まで。

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