このところの化石燃料の高騰で、木質エネルギーの市場競争力が世界的なスケールでにわかに高まってきた。とくに熱供給の分野では、石油や液化天然ガスと対抗できる状況が生まれつつあるし、発電の分野でも石炭火力でのバイオマス混焼がそのコストパーフォーマンスの良さから急速に普及している。木質バイオマスのこうした利用が順調に増加していけば、化石燃料の消費が減り、温暖化防止にも大きく寄与することになろう。
しかしその一方でバイオマスには「過剰利用」の不安が常につきまとっている。長いあいだ木質燃料は人類にとってほとんど唯一のエネルギー源であったのだが、燃料用の木材が樹木の成長速度を超えて伐り出され、森林を荒廃させてしまった例は枚挙にいとまがない。それはかつての日本にもあったし、一部の途上国では今でも「森林消失」の一因に数えられている。