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これからの木質エネルギービジネス

イギリスで始まった「熱の固定価格買取制度」

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バイオマスの本命は熱生産だ

木質バイオマスのエネルギー利用に関する限り、イギリスは欧州連合(EU)の中では後進国である。一次エネルギー総供給(TPES)に占める木質エネルギーの比率は1%をちょっと超える程度で、20%以上のスウェーデンやフィンランドはもとより、オーストリアの14.7%やドイツの4.3%と比べても、かなり見劣りがする(UNECE/FAO, Joint Wood Energy Enquiry 2011)。

もともとイギリスは森林資源に乏しい国として知られているが、90年代後半から欧州で広がった木質燃料の「復権」がつい最近まで見られなかったのも事実である。エネルギー源としてのバイオマスに熱い視線が注がれるようになるのは、この国が温暖化防止・CO2削減に向けて大きく動き出してからである。

イギリスの環境・食料省(Defra)とエネルギー問題を所管する通産省(DTI)が共同してバイオマス・タスクフォースを立ち上げたのは2003年のことである。3年に近い年月をかけて、関連する企業、政府機関、地域組織、団体などから広く意見が聴取され、海外調査も行われた。これらをもとにまとめられた最終報告書で、とくに強調されたのはバイオマスによる熱生産の重要性である。バイオマスがユニークなのは質の高い熱が効率的に生産できることであり、発電は本命ではないという判断である。こうしてバイオマスエネルギーに対するイギリス政府のスタンスが決まった。

野心的なCO2削減目標

2008年に成立したイギリスの気候変動法には、CO2排出量を2050年までに90年基準で80%削減すると明記されている。2020年までの削減率は35%。この野心的な長期目標を下敷きにして、2010年に「再生可能エネルギー行動計画」が策定され、再生可能エネルギーの導入目標も決められた。

2010年 2020年
電気 9% 31%
冷暖房・熱 1% 12%

ここで冷暖房・熱というのは、住宅用・業務用・産業用を合わせた熱消費の総量だが、注意してほしいのは再生可能な熱の比率が2010年の時点で僅か1%しかないことだ。EUの加盟国としては最低の部類である。

(※全文:5,289文字 画像:あり 参考リンク:なし)

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この記事の著者

熊崎 実(くまざき・みのる)

一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会 会長

1935年岐阜県生れ。農林省林業試験場(現・森林総合研究所)林業経営部長、筑波大学農林学系教授、岐阜県立森林文化アカデミー学長を歴任。現在は、筑波大学名誉教授、日本木質ペレット協会会長、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会会長。専門は国際森林資源論、農学博士。

著書に『林業経営読本』(日本林業調査会)、『木質バイオマス発電への期待』(全国林業改良普及協会)『木質エネルギービジネスの展望』(同左)、『木質資源とことん活用読本』(編著、農文協)ほか。訳書に『日本人はどのように森をつくってきたのか』(C.タットマン、築地書館)、『樹木学』(P.トーマス、築地書館)ほか多数。

一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会への相談は「mail@jwba.or.jp」まで。

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