バイオマス発電の小型化傾向
前回は、熱供給と発電とを対比させながら、木質エネルギーの市場競争力を見てきた。熱の生産コストは燃料の価格に大きく左右される。近年、石油や天然ガスの価格上昇が著しいため、木質バイオマスによる熱生産の市場競争力は目に見えて高まってきた。比較的熱出力の小さいストーブやボイラでも、化石燃料焚きの装置とコスト面でかなりいい勝負になっている。
ところが発電の場合は、通常の発電方式(蒸気ボイラ・蒸気タービン方式)に依拠する限り、「規模の経済」が強烈に効いてくる。電気出力で5~10MW程度のプラントでは、発電効率が低いうえに、定格出力当りの資本費用と運転費用が大きく膨らんで、発電のコストも相当な割高になる。かと言って、電気出力を大きくすると、大量の燃料バイオマスが必要になり、簡単には集められない。国内の林業・林産業で発生する残材や木屑類を利用するとすれば、5MWでも大きすぎて、2MWかそれ以下の発電規模が無難なところだろう。
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