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気がかりな森林チップの価格動向

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IEAによるバイオマス燃料の類別

以前このシリーズで触れたことだが(「木質バイオマスのコスト比較:熱併給と発電」9月17日)、国際エネルギー機関(IEA)は2012年にバイオエルギー(熱と電力)にかかわる「技術ロードマップ」を公表し、その中でバイオマス燃料を四つに区分した。すなわち廃棄物、工場残廃材、地場調達燃料、国際流通燃料がそれである。

この区分は燃料の出所に着目したものだ。しかし表1から明らかなように、熱量(ギガジュール)当たりのドルで表示された調達コストにも歴然とした差が出ている。われわれ日本人にも馴染みやすいトン当たりの円に換算してみよう。

表1 IEAによるバイオマス燃料の区分

区 分 廃棄物
Wastes
工場残廃物
Processing
residues
地場調達燃料
Locally
collected
feedstocks
国際流通燃料
Internationally
traded
feedstocks
有機系都市
廃棄(MSW)
製材副産物黒液 林地残材
小丸太・間伐材
丸太・チップ
木質ペレット
燃料コスト
(USD/GJ)
マイナス~0 0~4 4~8 8~12
円換算
(千円/t)
マイナス~0 0~5.0 5.0~10.0 13.8~20.8

参考)GJからトンへの換算で、木質チップ(含水率30%)の発熱量を12.6GJ/tとしたが、
    国際流通燃料については木質ペレットの発熱量17.3GJ/tをとった。
    両者ともUSD=100円で円に換算。
出所)IEA Renewable Energy Division: Technology Road Map, Bioenergy for Heat and Power. 2012

各燃料の平均発熱量と為替レートの設定いかんで結果は少し違ってくるが、全体として眺めて見るとそれほどの違和感はない。燃料の価格差をベースにしたわが国のバイオマスFITともある程度の対応がつく。すなわち、リサイクル木材の買取価格13円/kWhは表1の廃棄物に対応し、一般木材の24円は工場残廃材に、未利用木材の32円は地場調達燃料に対応する。

ただし燃料の種類とコスト(ないし価格)との対応関係は決して固定したものではない。早い話が、パルプ工場から排出される廃液(黒液)はかつてヘドロ公害の元凶とされ、巨大なマイナス価値を生んでいた。それが今ではパルプ工場の貴重な熱源となっている。

(※全文:5,612文字 画像:あり 参考リンク:なし)

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この記事の著者

熊崎 実(くまざき・みのる)

 1935年岐阜県生れ。農林省林業試験場(現・森林総合研究所)林業経営部長、筑波大学農林学系教授、岐阜県立森林文化アカデミー学長を歴任。現在は、筑波大学名誉教授、日本木質ペレット協会会長、木質バイオマスエネルギー利用推進協議会会長。専門は国際森林資源論、農学博士。

 著書に『林業経営読本』(日本林業調査会)、『木質バイオマス発電への期待』(全国林業改良普及協会)『木質エネルギービジネスの展望』(同左)、『木質資源とことん活用読本』(編著、農文協)ほか。訳書に『日本人はどのように森をつくってきたのか』(C.タットマン、築地書館)、『樹木学』(P.トーマス、築地書館)ほか多数。

 木質バイオマスエネルギー利用推進協議会への相談は「info@w-bio.org」まで。

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