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初めての都市のダム

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広重の虎ノ門

広重の「虎ノ門外あふい坂」は、江戸の街つくりにとって重要な絵である。(図−1)虎ノ門の金毘羅さんに願かけ寒行する二人の職人。そばや屋の親父さんと、二匹の猫。帰りを急ぐ男女。そして、背景の滝。
この滝は江戸街つくりに大きな役割を果たした。滝は自然の滝ではない。人工の滝であった。滝は堰堤(えんてい)を流れ落ちている。堰堤は石を積み練り固めたもので、絵の構図から判断すると、高さ数mの立派なダムであった。
絵の場所は、千代田区の虎ノ門である。ここにダムがあったので現在の溜池交差点から赤坂の繁華街は、江戸時代はダムの「溜池」であった。ダムの貯水池は、今は交通量の多い「外堀通り」である。名前の通り江戸城の外堀であったが、もうひとつ重要な使命があった。
それは、江戸市民の飲み水を供給することであった。

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(図−1)「虎ノ門あふい坂」広重(1606年建設)

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