歌川広重の東海道五十三次夕焼けの神奈川宿、一夜の宿を探す旅人と強引に誘う飯盛り女が描かれている。ユーモア溢れる旅人と飯盛り女に、どうしても目がいってしまう。庶民を描く天才の広重の巧みさに邪魔され、私は半世紀近く、この絵の大切な光景を見落としていた。
東海道五十三次は、江戸の美術の代表として中学校の教科書にも載っているほど日本人に親しまれている。中学、高校を神奈川県で過ごしたので、「神奈川 台之景」は身近に何度も見ていた。(図―1)が、東海道五十三次の3番目、「神奈川 台之景」である。
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