「必要なデータがすぐに出てこない」、「事業所が全国に渡っており収集が難しい」。スコープ1・2は必要な資料データが少なく、算定が行いやすい一方でこういった課題もある。スコープ1・2のためのデータ収集や算定に何かよいコツはないだろうか? 数多くの企業課題解決を成功に導いてきたプロレド・パートナーズの環境コンサルティングセクターリーダー石塚遼氏に道案内してもらう。(連載第12回、バックナンバーはこちら)
前回は、CO2排出量を算定する際の基本ルールであるGHGプロトコルの要点について解説した。今回からは実際の算定の手順を解説していく。
なぜ、まずはスコープ1・2を算定するのか
前回の通り、GHGプロトコルの算定の対象範囲は「スコープ(Scope)」という用語を使い、3つの範囲を指定している。「スコープ1」「スコープ2」「スコープ3」に分けられ、端的に言うと、スコープ1・2は自社が直接排出する量、スコープ3は自社の影響を受ける他企業が排出する量を指す。その中でもまずは、自社のCO2排出量であるスコープ1・2を算定することが優先である。