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植物工場 ― 現状と課題と

植物工場ビジネスの将来性

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複数回にわたって国内外における植物工場事例についてご紹介してきたが、最後に世界市場における日本が保有する技術優位性と植物工場ビジネスの将来性について整理したい。

高度な環境制御と周年栽培を実現する植物工場施設の面積は世界全体でみても非常に小さいものである。太陽光利用型ではトップリーダーであるオランダでは施設園芸の80%以上が植物工場に分類できるほど、ハイテクな施設が普及している一方で、日本の場合は約6万2000ヘクタールのうち、植物工場が占める面積は1000ヘクタールにも満たない、と推計される。

日本の施設園芸の多くが、ハイプにフィルムが張った簡易的なハウスであり、加温・冷却装置や自動開閉カーテン、その他の環境モニタリング制御機器といった装置・システムの導入施設は極めて少ないのが現状である。

こうした設備投資には、導入資金の調達と投資回収が可能な採算性が求められる。大きな設備投資が必要な施設園芸・植物工場ビジネスへの参入には、大手企業による単独参入、または大手企業が出資を行いながら地元農家と共同で農業生産法人を設立する形が一般的である。

また、葉野菜やトマト・パプリカといった野菜の生産・販売事業にて採算性を考えた場合、ある程度の大規模化が必要となる。例えばレタス類を生産する場合、太陽光利用型では1ヘクタール(1日5000株~)、完全人工光型では1,000平方メートル(1日1万株~)くらいの規模が必要とされるが(補助金なしを想定)、このような大規模施設となると国内では数ヵ所に限られている。

現在の政府方針としては、農地の集約化や農業法人への出資規制緩和など、民間企業による農業参入を推進しており、今後は国内においても植物工場の施設面積の拡大が見込まれる。

ただし、小規模農家による露地栽培(土耕栽培)やこだわりを持った有機栽培も重要であり、様々な商品を消費者自身が選択していく形が望ましいのだが、日本国内における有機JAS農産物の割合が全体の0.2%、有機JAS規格ではない有機農作物を合計しても0.35%のシェアしかない国内の状況も一つの課題として挙げられるだろう。

(※全文:2,191文字 画像:あり 参考リンク:なし)

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この記事の著者

藤本真狩(ふじもと・まかる)
藤本 真狩(ふじもと・まかる)
NPO法人イノプレックス 代表理事
神戸大学 経済学部 卒業。京都大学医学研究科在籍中の2008年にNPO法人イノプレックスを設立。主にメディカル・バイオ分野の技術調査・技術経営戦略のコンサルタントとして、年間100社以上のテクノロジー企業を調査するとともに、技術の事業化やベンチャー企業の経営支援に携わっている。現在は国内外からの依頼を受け、施設園芸や植物工場に関する新規参入支援を活動の中心としている。その他、アーバンファームファクトリー株式会社 取締役など、複数の技術顧問・社外取締役を兼任。
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