
東日本大震災や原発事故によって大きな被害を受けた福島県で2024年7月、再エネのための送電網が完成した。震災復興事業の一環として、原発に依存しすぎず、再エネ比率を高めるために整備された。構想から10年弱での送電網完成は異例の速さといえる。その背景を探った。
2016年、福島に「新エネ社会構想」
福島第1原発事故からの復興、福島再生を目指し、「福島イノベーション・コースト構想」が持ち上がったのが2014年6月。2016年2月には福島を再生可能エネルギー先駆けの地にするための「新エネ社会構想」ができ、福島送電が2016年10月に設立された。再エネを送電する際に必要な送電線を整備する。福島県などが出資する福島発電、東京電力、地元の東邦銀行などが主要株主だ。