今回は、需要応答(ディマンド・レスポンス)の最前線第3回目として、アメリカにおける需要応答は再生可能エネルギーの導入拡大にも資するものとしても推進されていることについて、事例を挙げながら解説します。また、そうした動きがインターネット上の「ヴァーチャル発電所」構築へと進化していること、日本の北九州市や足利市においても、地域レベルの「ヴァーチャル発電所」構築の動きが始まっていることをご紹介します。
再生可能エネルギーの導入拡大にも資する需要応答
アメリカの需要応答は、分散型エネルギーや再生可能エネルギー導入拡大のための手段としても注目されています。アメリカでは特に再生可能エネルギーの導入に着目し、再生可能エネルギーとスマートグリットとをドッキングさせたシステムを開発するため、エネルギー省(DOE)は「再生可能・分散型統合システム」(RDSI:Renewable and Distributed Systems Integration)の実証事業を全米9地域で推進しています。
RDSIは、スマートグリット、分散型発電、双方向のコミュニケーション、需要応答の4つを組合せたシステムで、15年までにピークロードの20%削減を目的としています。
9地域におけるプロジェクトとモーガンタウンの先進事例
9地域とプロジェクトの実施主体は、コロラド州フォートコリンズ(フォートコリンズ市)、イリノイ州シカゴ(イリノイ技術研究所)、ニューヨーク州ニューヨーク(統合エジソン)、ウェストヴァージニア州モーガンタウン(アレゲニー電力会社等)、ネバダ州ラスベガス(ネバダ州立大学ラスベガス校)、ハワイ州マウイ島(ハワイ州立大学)、カリフォルニア州サンディエゴ(サンディエゴ電力ガス会社)、カリフォルニア州アラメダ郡サンタリタ刑務所(シェブロン・エネルギー・ソリューションズ)、ユタ州プロモントリー(ATKスペースシステムズ)です。
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