> コラム > アメリカのディマンドレスポンス最前線(2) ~最大20%のピークカットへ~
見えてきたスマートグリッドの現実

アメリカのディマンドレスポンス最前線(2) ~最大20%のピークカットへ~

加藤 敏春

記事を保存

今回は、需要応答(ディマンド・レスポンス)の先進国であるアメリカの最前線第2回目として、アメリカにおいて今後推進されようとしている需要応答の規模、効果等について解説し、原発再稼働が困難な状態が継続する日本においても、需要応答を国家プロジェクトとして推進する必要性が高くなっていることを論じてみようと思います。

最大20%のピーク電力抑制効果と15%電気料金低減効果を実証

アメリカにおける需要応答によるピーク電力抑制効果と電気料金低減効果を実証したものとしては、米エネルギー省(DOE)の国立研究所であるPacific Northwest National Laboratoryにより2008年に行われた“Gridwise Olympic Peninsula Demonstration Project”があります。スマートメーターを用いて、5分間隔のリアルタイム・プライシングによる効果をブロードバンド環境で実証したものです。

実証の結果、これによりピーク電力を15~17%減少させるとともに、平均的な家庭で15%電気料金を安くすることができるということが明らかになりました。また、メリーランド州で行われた実証実験では、28%~38%のピーク電力需要のカットがなされたという報告もあります。こうして、アメリカでは需要応答の有効性が実証され、それが広範に普及される素地ができました。

2019年には最大188ギガワット(20%)のピークカット

これを受けて、2009年6月に発表された連邦エネルギー規制委員会(FERC)のスタッフ報告書では、19年に実現できる負荷平準として4つのケースを提示しています。それによると、(1)現状レベルの需要応答が継続された場合は38ギガワット(4%)、(2)現状レベルの需要応答がすべての州に拡大した場合は82ギガワット(9%)、(3)全世帯・オフィスにスマートメーターが導入され、ダイナミック・プライシングが初期設定された場合は138ギガワット(14%)、(4)全世帯・オフィスにスマートメーターが導入され、ダイナミック・プライシングを含めすべてのプログラムが実行された場合は188ギガワット(20%)の負荷平準が需要応答により実現することができると報告されています。

注目されるカリフォルニア州の「20/20リベート」制度

アメリカの中でもカリフォルニア州は、需要応答への取組みが盛んな州です。カリフォルニア州では、2000年から01年にかけて停電が頻発した電力危機を受けて、需要応答に関する検討が始まりました。さらに、06年に起こったカリフィルニア大停電が後押しとなって、需要応答プログラムの導入が進んでいます。

注目されるのは、2000年のカリフォルニア州の電力危機後の01年2月以降展開された「フレックス・ユア・パワー」(Flex Your Power)というキャンペーンの中で実施された「20/20リベート」という制度が、家庭や企業の節電行動を大きく促進する効果を有したことです。これは、前年同月比で電力消費を20%節約すると、その月の電気料金の支払額(基本料金分を除く)の20%をリベートとして還元するという仕組みで、家庭では6~9月期の電力使用量、企業では夏期のピーク需要が対象になりました。

  • まだ会員登録されてない方

    新規会員登録無料
  • 既に会員登録されている方

    ログイン

会員登録3つの特典

見えてきたスマートグリッドの現実 バックナンバー

この記事の著者

加藤敏春(かとう・としはる)【スマートプロジェクト代表&エコポイント提唱者】
加藤敏春(かとう・としはる)【スマートプロジェクト代表&エコポイント提唱者】
1977年東京大学法学部卒業、同年通産省(現経産省)入省,84年米国タフツ大学フレッチャー・スクールにて修士号取得。その後、在サンフランシスコ総領事館経済担当領事,通産省サービス産業課長,東京大学大学院客員教授,内閣審議官等を歴任。1994年から95年にかけてインターネットの商用利用,ベンチャービジネスに関するシリコンバレーの動向を日本に紹介。以来各種の提言活動を展開し、一般社団法人スマートプロジェクトを設立。「エコポイント提唱者」として政府が進める省エネ家電&住宅エコポイント事業に協力するとともに、節電、スマートグリッドの推進、CO2排出削減等に関する公益的活動を展開。 著書に『スマートグリッド革命』(NTT出版)、『節電社会のつくり方』(角川書店)、『エコマネー』(日本経済評論社)、『マイクロビジネス』(講談社)など多数。第17回東洋経済・高橋亀吉記念賞最優秀賞などを受賞。「プランB」の詳細を記した新著『スマートグリッド「プランB」-電力大改革へのメッセージ』(NTT出版)を本年5月17日に上梓。
記事を保存

環境セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.