これまでは気候変動の国際交渉にまつわる話を主に記してきたが、今後の気候変動への取り組みの方向性を占う上で避けることができないのが、炭素市場の運命についての話かと思われる。
去年行われたCOP18そしてCMP8の会合で、「京都議定書第2約束期間においてコミットメントを負わない国については、実質的に京都メカニズムを使用できなくなった」ことを受けて(注:クレジットの原始取得は可能だが、クレジットの国際移転が出来ないので、実質、日本にとってはCDM/JIは使えないと考えられる)、新しいメカニズムの検討がより重要性を増しており、日本も官民が協力して二国間オフセットクレジット制度(JCM: Joint Crediting Mechanism)の実施に向けた交渉が行われているところだが、それはまた別の機会に詳説することとして、今回は、国際交渉の陰で起こってしまった、炭素市場の命運を左右するといっても過言ではない、欧州での「事件」について少し述べてみたいと思う。
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