2013年7月10日のワシントンDCでの第5回米中戦略経済対話での合意だが、ケリー米国務長官が記者会見で発表した内容を見てみると、こちらでも両国が協力して気候変動問題のスキームをリードするとの思惑が見て取れる。
(中略)
実際にこの合意が行動に移され、それが効率的なものとなり得るかは、10月末までに両国で話し合われ、各イニシアティブから出される今後の行動計画の内容次第だと思うが、これまで以上に世界第1位と第2位の経済国でかつ温暖化効果ガス排出国が協力を密接にするという動きへの合意は、それなりのimplicationを持つはずで、それはまた、現在UNFCCCの交渉の場で話し合われ、2015年までにはその枠組みが合意されることになっている、2020年以降の気候変動問題への国際対策の全体の絵図に影響を与えることは必至だろう。
(中略)
ただ、今回の合意の中で、米中両国が先導して、国際交渉においても協力を行い、2015年の合意を目指すことでも合意していることで、これまで以上により欧州のプレゼンスは下がることは必至だろうし、現在、「主要国」と呼ばれている日本やインド、他の主要国(ブラジルなど)も影響力の低下の懸念は否めないだろう。
(中略)
これまでのように、単純に「先進国対途上国」の図式では国際情勢も、ビジネスも語れなくなっており、多様化するニーズを見極めつつ、対策を練る必要がでてきている。
(以上、前回まで)
さて、気候変動交渉とその将来を観るに当たり、忘れてはいけないのはEUの位置取りかと思われる。
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