未だに気候変動に対して聞かれる「懐疑派」のウワサ。曰く、「気候変動は短期的に起こる気象現象であり、大騒ぎするようなことはない」。
しかし、本当にそうだろうか。ここ数年、長く続く猛暑や極寒の冬が世界中を襲っている。
以前に比べはるかにデータの信用性や質、科学的な知見の精度が上がった「IPCC第5次評価報告書(IPCC-AR5)」が明らかにした内容に、気候変動交渉関係者たちはみな青ざめた。温暖化は驚異的なスピードで進行していたのだ。
この報告書から読み取れる、1つ目メッセージは「気候システムの温暖化には疑う余地はない」ということだ。特に海水温度は確実に上昇した。
(以上、前回より)
2つ目のメッセージは、「人間の影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な(dominant)要因であった可能性が極めて高い(95%以上)」という結論で、これは、前回報告書(AR4)では「可能性が非常に高い(90%以上)」であったが、更に踏み込んだ表現となった。
一番の要因は、1750年以降、温暖化効果ガスと呼ばれる二酸化炭素、メタンガス、二酸化窒素すべての大気中濃度が上がり続けていることで、AR5によると、2011年のデータでは、工業化以前のレベルに比べて、二酸化炭素は1.4倍、メタンについては2.5倍、二酸化窒素については1.2倍の濃度を記録しているとのことである。
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