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気候変動交渉の現場から

気候変動次期枠組みにおける政策動向と今後の勢力図(3)インド、ブラジル、南ア他

島田 久仁彦

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2013年7月10日のワシントンDCでの第5回米中戦略経済対話での合意だが、ケリー米国務長官が記者会見で発表した内容を見てみると、こちらでも両国が協力して気候変動問題のスキームをリードするとの思惑が見て取れる。

まず、両国は、2013年10月末を目処に5つ分野をカバーするイニシアティブにおいて、官民およびNGOなどと協力してWorking Groupを立ち上げ、それぞれがそれまでに実施計画を作成することに合意しており、その共同議長に、米国は気候変動問題特使のTodd Stern氏、中国側はNDRC(国家発展改革委員会の副主任である解振華氏が就いていることから、政治的なコミットメントも見て取れるだろう。

(中略)

実際にこの合意が行動に移され、それが効率的なものとなり得るかは、10月末までに両国で話し合われ、各イニシアティブから出される今後の行動計画の内容次第だと思うが、これまで以上に世界第1位と第2位の経済国でかつ温暖化効果ガス排出国が協力を密接にするという動きへの合意は、それなりのimplicationを持つはずで、それはまた、現在UNFCCCの交渉の場で話し合われ、2015年までにはその枠組みが合意されることになっている、2020年以降の気候変動問題への国際対策の全体の絵図に影響を与えることは必至だろう。

では次回に、今回の米中の動きに鑑みて、今後、どのような勢力図が出来うるかについてみてみたいと思う。

(以上、前回より)

これについては、先述のように、まずは米中の2国間イニシアティブの進捗具合を注視することが必要(2013年10月には実施プランができている予定)だろうと考える。

ただ、今回の合意の中で、米中両国が先導して、国際交渉においても協力を行い、2015年の合意を目指すことでも合意していることで、これまで以上により欧州のプレゼンスは下がることは必至だろうし、現在、「主要国」と呼ばれている日本やインド、他の主要国(ブラジルなど)も影響力の低下の懸念は否めないだろう。

例えば、インドには明らかに米中接近に対する懸念が見える。それを米国もちゃんと認識しており、中国との絶妙なつながりは維持しつつ、インドとの2国間イニシアティブも模索(特に、電力部門、鉄鋼部門でのエネルギー効率の向上、再生可能・クリーンエネルギー部門)しており、インド政府側も真剣かつ迅速にその実現を目指している。

(※全文:2,434文字 画像:なし 参考リンク:なし)

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この記事の著者

島田 久仁彦 (しまだ・くにひこ)
島田 久仁彦 (しまだ・くにひこ)

 国際的に有名な交渉ストラテジストとして知られ、国際会議のファシリテーションのプロフェッショナルとして認められている。現在KS International Strategies社のCEOを務める傍ら環境省参与およびSun Investment社のパートナーとしても活躍。


 これまでに環境省国際調整官として気候変動交渉で政府代表団でリード交渉官を務めると同時に、数々の議題で交渉の議長なども歴任。

 2010年10月に名古屋で開催された生物多様性第10回締約国会議(CBD-COP10)では、議長補佐を務め会合の成功に寄与した。環境問題、とくに気候変動問題には、1997年から関わっており、気候変動の国際交渉においては知らない人がいないと言われるほど名が知られている。2012年3月、これまでの活動が評価され、世界経済フォーラムのYoung Global Leaders 2012(YGL2012)に選出された。

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