2013年10月22日付けのニュースで、英国が約30年ぶりに原発を新設するという報道がなされた。
ニュースによると、「英国政府は21日、英南西部ヒンクリーポイントに原子力発電所を新設することで、仏電力公社(EDF)などと合意した(2023年稼働予定)」とのことだ。ここで私が気になるのは、最後のところ、仏電力公社(EDF)「など」というところなのだが、報道によると、この「など」に日本の企業が含まれていないようだ。
(中略)
同時に、福島第1原発の事故後、イメージもあってか、原子力物理学や工学を志す学生が激減しているとのうわさも聞く。もしそれが現実なら、次世代の技術者の要請もできなくなっていくことになる。それはただ単に技術的な問題のみならず、私の目からは、国家安全保障上の問題にも思える。東芝がWestinghouse社を購入したり、日立が先述のように英国進出の足掛かりを固めようとしたりしているのは希望が持てる動きに思えるが、今回の英国でのニュース性のある案件に組み込まれなかったのは憂慮すべき事態ではないかと思う。
(以上前回より)
原発ゼロを仮定し、化石燃料の使用が必然的に増える中、石炭火力発電が再度見直されている。かつては「黒いダイヤ」と呼ばれ、日本の戦後復興・日本経済の急成長を後押ししたのが石炭火力ですが、火力発電の主流が石油・天然ガスに移るとともに表舞台から去ったように思われがちだが、実はまだ日本の電力の28%ほどを賄う重要なエネルギー源となっている(原発が停止している現在、1位のLNG火力発電について第2位)。
原発が停止している今、LNG発電への依存度が上がるばかりですが、価格の高騰や輸入元の多様化が進まない中、石炭火力オプションは大事なベース電源となり得る。一つには、石炭はLNGや原油に比べてまだまだ安価で(ゆえに中国やインド、米国も主流はまだ石炭火力)、かつ安定供給も可能とされていることが挙げられる。
また、かつてはモクモクと黒い煙を上げて大気汚染の原因ともされたが、1980年以降、高効率発電技術の開発などに業界あげて取り組んだ結果、粉塵をほとんど出さず、またCO2の排出も大幅に抑えることができるオプションが出来上がっている。
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