気候変動交渉の現場から

PM2.5問題を巡る国際的な駆け引き(後編)

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さて、当の中国国内での対策はどうなっているのだろうか?中国の発展を取り仕切るスーパー官庁である発展改革委員会(NDRC)は、表向きには「中国としては、発展する(工業化をさらに推し進める)必要性と権利」を訴えるが、同時に、PM2.5による大気汚染が引き起こす国民への健康被害と、経済発展プロセスへの負の影響を深刻に捉えており、現行の第13次5か年計画においても、次の第14次5か年計画(2016年から2020年をカバー)においても、「よりクリーンで効率的に発展を進める」との方針を示しており、最近では老朽化した石炭火力発電所や鉄鋼所を改修するのではなく、破壊して(注:影の銀行問題に端を発する石炭をはじめとするエネルギー業界への制裁という意味を込めた国民向けのアピールでもあるが)、新設するという方策をとっているし、また自動車からの排出削減を目指すため、過去から施行している規制をさらに強化し、自動車からの排出規制レベルを大幅に引き上げることになっているようである。

これにより、自動車については、かつてのアメリカ型(より大きな車を好み、ガスマイレージは二の次というステータスシンボルとしての自動車)から、「よりエコに、排出が少なく、(ガソリン価格の上昇を受け)より燃費のいい自動車」を好むようになってきているし、それに呼応するように、各主要な自動車メーカーは(例:BMW、VW、トヨタ、日産、ホンダなど)よりクリーンな車を、中国国内の自動車会社とのベンチャーで製造販売する動きを加速させている。

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