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気候変動交渉の現場から

IPCC報告書が提言する環境技術オプションとビジネスチャンス

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ドイツ・ベルリンで開催されていた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第3作業部会は、2014年4月13日、第5次報告書(AR5)における第3作業部会報告書を公表した。その主なメッセージは、地球の平均気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えるためには、温暖化効果ガスの排出量を2010年比で2050年までに40-70%削減する必要があり、そのためには、電力供給に占める再生可能エネルギーや原子力発電といった、一般的に低炭素エネルギーと呼ばれるエネルギー源の割合を、現状の30%から、2050年には80%レベルまで引き上げることが必要とした。

また、2100年までには、全世界の排出量はゼロもしくは、炭素隔離貯留(CCS)などの技術を駆使して、マイナス排出にしないといけないとした。どれも、前報告書であるAR4で示された数値より厳しくなっており、国際社会が、官民協力の下、本気で、それもすぐに対応を取らないといけないとのメッセージとなっていることがわかる。

この中で、私が特に面白いと感じたのは、「さまざまな障害やリスクがある」と但し書きはしつつも、「原子力は温暖化効果ガス排出が少ないベースロード電源」と位置付けたことだ。IPCC総会とほぼ時を同じくして、日本政府は、「原子力発電は、今後も安定的に電力を供給できるベースロード電源」であることを4月11日に閣議決定し、今後、まだ具体的なスケジュールはわからないにせよ、エネルギー戦略として、原子力発電を有力なオプションとして位置づけ、現在、原子力規制委員会の下、安全性評価が行われている原発の再稼働への道を開いた。

その2日後、今度はIPCCが原子力発電の有用性に言及したのである。これは、これまではっきりとしてこなかったエネルギー戦略にclarity (明確さ)を与えるのみならず、電力業界はもちろん、全産業界の戦略にも大きな意味を持つのではないだろうか。(とはいえ、実際にはまだ安全性評価がなかなか進まず、具体的な再稼働のスケジュールは見えてきていない)

さらには、これまで環境の敵とさえ言われてきた石炭火力発電についても、既存のものは撤廃するべき、との意見が出つつも、CCSを付設する新規のものについては、低炭素排出の有効なエネルギー源として積極的に進めるべきとの意見も出していることも注目にあたるだろう。

(※全文:2,286文字 画像:なし 参考リンク:なし)

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