世界的に評判の高いY.N.ハラリの近著『サピエンス全史』の日本語版を読んでいて、「私たちが使えるエネルギーに限界はない」という衝撃的な文章に出会った。著者は1976年生まれのイスラエル人だが、とくに感心したのは若い頭脳が生み出す柔軟でみずみずしい発想である。われわれはこれまで、現代社会の膨大なエネルギー消費がエネルギー源を枯渇させるのではないかと繰り返し声高に叫んできた。
しかしハラリ氏に言わせると、私たちの身近には太陽エネルギーはじめ核エネルギーや重力エネルギーなど無尽蔵にある。エネルギーに限界があるのではなく、その使い方を知らない人間の無知が唯一の限界になっていた、と言う。それが産業革命でエネルギーの変換にも革命が起こり、新しいエネルギー源が次々に発見されて、人間が使えるエネルギーの総量は確実に増えてきた。