再エネ新時代における木質エネルギーの役割

木質バイオマス発電:苦難の歴史に学ぶ(5) ~日本でもRPSとともに始まった独立型のバイオマス専焼発電~

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これまで木質バイオマス発電と言えば、製材工場や紙パルプ工場に組み込まれているケースが多かった。工場の残廃材や黒液がそのまま発電の燃料になり、また発電で発生する排熱も製材品やパルプ製品の乾燥に使えるからである。林産業から切り離された独立型の発電プラントは、おおむねFITのような政策的支援に支えられて登場した。日本でもRPSが施行された後に、この種の発電プラントがいくつかお目見えしたが、燃料の確保で大変な苦労を強いられた。今回のFITの発足で、燃料問題の重要性はまた一段と高まっている。過去の経験を踏まえて今後どうするかをしっかりと検討しなければならない。

木質発電事業の先駆け:紙パルプ産業での自家発電

質の低い木質バイオマスを産業用の熱や電気に変換する技術を最初に確立したのは紙パルプ産業である。規模の大きい紙パルプ工場では比較的早くから大型の自家発電装置を導入していた。紙パルプの製造では加熱や乾燥に大量の蒸気が使われるし、また製造設備を動かすための電気も要る。まさに典型的なエネルギー消費産業だが、その一方で燃料となる木質系の廃棄物を大量に生み出している。パルプ製造に使えない木屑、ぺーパースラッジ、黒液がそれだ。

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