オーストリアはウィーン市のシマリングで、大型の「森林バイオマス発電所(Wald‐Biomassekraftwerk)」 が本格的な運転を始めたのは2006年10月のことである。その熱出力は66MW。バイオマスプラントとしては欧州屈指の規模とされる。とくにユニークなのは国有林から出てくる間伐材などを主な燃料として運転されていることだ。
ところが肝心のプラント経営のほうは、近年赤字続きで四苦八苦の状態にある。前回紹介したアメリカ、バーリントンの大型プラントの場合は、発電効率が低いことと廃熱利用のないことが苦難の原因とされていた。しかるにシマリングには最新鋭の装置が入っていて発電効率はかなり高い。さらに熱のほうはウィーン市の地域熱供給公社に売ることができる。この発電所が持てる能力をフルに発揮すれば、ウィーン市の48,000世帯に電気を送り、12,000世帯に暖房給湯用の熱を供給できるはずだ。このような環境にありながらなぜうまくいかないのか。
続きは有料会員登録後にお読みいただけます。
- オンラインでは実務に直結する有益なオリジナル記事を掲載
- 登録月(購入日~月末)は無料サービス
- 環境設備の導入・営業に役立つ「補助金情報検索システム」も利用可能
- 本誌「環境ビジネス」の電子ブックも読み放題
- 月額
- 1,300円(税込)
- 年額
- 15,600円(税込)