はじめに
この数年来欧州ではチップやペレットなどの木質燃料の価格が下がり続けている。変動の激しい原油の先物価格やスポット市場での卸電力価格に比べれば、木質燃料の値動きは至極穏やかで、あまり目立たない。しかし詳しく見ると、看過できない重大な変化が起こりつつあるように思う。
これまで何回かに分けて述べてきたように、ドイツでは風力や太陽光由来の「燃料費ゼロ」の電気が電力市場に流れ込むようになって、電力の卸価格は大幅に引下げられた。この過程で通常の火力発電は市場競争力を失い、化石燃料の価格も下がってきている。燃料費の割合がとりわけ高い木質バイオマス発電は電力市場から真っ先に締め出された感じだが、熱供給の分野でも安くなった化石燃料と競争しなければならず、苦戦を強いられている。
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