再エネ新時代における木質エネルギーの役割

木質バイオマス発電のFITはこのままでよいのか(3)~出力規模による買取価格の差別化について~

  • 印刷
  • 共有

2012年にスタートしたわが国の木質バイオマスFITでは、買取価格が三つの燃料の種類(未利用木材、一般木材、建廃)ごとに定められていて、当初は電気出力による差別化がなされていなかった。これは他に例を見ない、きわめて特異なスキームではあるが、発電プラントの出力に関係なく同一の買取価格を適用することの問題点は早くから指摘されていた。ただ当時は発電コストの規模別格差を示すデータが十分に集積されておらず、5MWの発電専用プラントを唯一のモデルにして買取価格を決めるしかなかった。その意味で、これはいわば暫定値であり、規模別の差別化は今後の課題として残されたのである。今回はこの残された課題について考えてみたい。

出力規模と発電コスト

木質バイオマスによる発電方式で、最も一般的なのは燃料を燃やして高温高圧の蒸気をつくり蒸気タービンを回して発電する方式である。この方式で肝要なのは、タービン入口の蒸気温度が十分に高くないと満足な発電効率が得られないことだ。出力の小さいプラントでは蒸気の高温化が難しく、どうしても熱効率が低くなってしまう。

続きは有料会員登録後にお読みいただけます。

  • オンラインでは実務に直結する有益なオリジナル記事を掲載
  • 登録月(購入日~月末)は無料サービス
  • 環境設備の導入・営業に役立つ「補助金情報検索システム」も利用可能
  • 本誌「環境ビジネス」の電子ブックも読み放題
月額
1,300円(税込)
年額
15,600円(税込)

関連記事