再エネ新時代における木質エネルギーの役割

ドイツ経済エネルギー省『2030年の電力』に見る将来展望(その2)

  • 印刷
  • 共有

バイオマスのエネルギー利用:三つの原則

エネルギー供給の主軸を風力と太陽のエネルギーが担うとすれば、バイオマスに残される役割はどのようなものか。これまでバイオマスと言えば、熱と輸送燃料の供給を担い得る、ほとんど唯一の再エネ源のように見られてきた。しかし電気、熱、輸送燃料という三区分は絶対的なものではない。三者の間で結構融通が利くのである。最近のドイツでよく聞かれる「部門間連結(Sektorkopplung)」が正にそれだ。変動電源で生産された電気を使ってヒートポンプを駆動させれば、大気中や地中にある熱を冷暖房用の熱に変換してくれる。また風況に恵まれて大量の余剰電気ができているのなら、水の電気分解で水素を生産することができる。水素は何にでも使える万能のエネルギー媒体と言っていい。

このように考えると、「どうしてもバイオマスでなければ」という局面はかなり限られてくる。『2030年の電力』で取り上げられた12のトレンドの8番目がバイオマスに関わる項目だが、ここではまず次の三つの原則が掲げられている。

続きは有料会員登録後にお読みいただけます。

  • オンラインでは実務に直結する有益なオリジナル記事を掲載
  • 登録月(購入日~月末)は無料サービス
  • 環境設備の導入・営業に役立つ「補助金情報検索システム」も利用可能
  • 本誌「環境ビジネス」の電子ブックも読み放題
月額
1,300円(税込)
年額
15,600円(税込)

関連記事