> コラム > 木質バイオマス発電のFITはこのままでよいのか(4) ~改善策の提案~
続・これからの木質エネルギービジネス

木質バイオマス発電のFITはこのままでよいのか(4) ~改善策の提案~

記事を保存

スタンダード会員登録 のあとに ログイン していただくと全文をご覧いただけます。

重要な政策ビジョン

木質バイオマスを使った発電のコストは、太陽光や風力による発電のコストよりも変異の幅が大きい。発電技術に由来する出力規模別のコスト差にはそれほどのバラツキはないが、木質バイオマスの場合は燃料費のウェートが高く、しかもその燃料の調達コストは条件によって実にさまざまである。早く言えば、FITの買取価格を決める単純で客観的な基準がなかなか見当たらない。政策判断に頼る場面がどうしても多くなる。重要なのは「木質バイオマスのエネルギー利用は如何にあるべきか」の政策ビジョンだ。

ただしこの課題はもう一段上の一般的なテーマ「森林の保護・保育と木材の利用は如何にあるべきか」に直結している。ドイツを軸とした中央ヨーロッパで、天然林を伐採するだけの「略奪林業」から、植えて育てる「育成林業」への移行が目立つようになるのは、17世紀末から18世紀にかけてのことだが、以来、一国あるいは一地域の森林をどのように保護し、利用するかは為政者の重大な関心事となってきた。

というのも、木材生産の事業は自然環境の主要な構成要素である森林を舞台にして展開されており、しばしば社会的な緊張を生むからである。早い話、木材を伐採するという行為は人類が犯した自然破壊の最たるものなのだ。良好な自然環境を維持しながら、木材生産を続けるにはどうしたらよいか。それがドイツで誕生した「林学」という学問の主要なテーマの一つになり、探求の努力は今日まで続いている。その結果、次第に明らかになってきたのは、環境と木材は必ずしも二律背反ではなく、この両方を同時に手に入れる可能性が広く残されているということである。

※全文: 5593 文字 画像 :あり 参考リンク :なし

スタンダード会員の方はここからログイン

続・これからの木質エネルギービジネス バックナンバー

この記事の著者

熊崎 実(くまざき・みのる)

一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会 会長

1935年岐阜県生れ。農林省林業試験場(現・森林総合研究所)林業経営部長、筑波大学農林学系教授、岐阜県立森林文化アカデミー学長を歴任。現在は、筑波大学名誉教授、日本木質ペレット協会会長、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会会長。専門は国際森林資源論、農学博士。

著書に『林業経営読本』(日本林業調査会)、『木質バイオマス発電への期待』(全国林業改良普及協会)『木質エネルギービジネスの展望』(同左)、『木質資源とことん活用読本』(編著、農文協)ほか。訳書に『日本人はどのように森をつくってきたのか』(C.タットマン、築地書館)、『樹木学』(P.トーマス、築地書館)ほか多数。

一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会への相談は「mail@jwba.or.jp」まで。

記事を保存

環境セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.