2017年5月24日に長野市で自然エネルギー財団主催の国際シンポジウム「木質バイオマスによる地域エネルギーシステムの転換―世界の経験を日本で活かす」が開催された。このシンポジウムで基調講演を行ったのが、オーストリア・バイオマス協会の設立者で、欧州バイオマス連合会会長、世界バイオエネルギー協会会長を歴任したハインツ・コペッツ氏である。
彼は、バイオマスのエネルギー利用で重要なのは熱供給だと早くから繰り返し主張していたのだが、残念なことに熱部門におけるエネルギー転換は遅々として進んでいない。EUの28カ国でも、熱部門の再エネ比率はこの10年間で10%から18%の上昇にとどまっている。つまり今なお8割以上を化石燃料に頼っているのだ。