欧州においてバイオマス集配センターのモデルとされてきたのは、オーストリア・シュタイアマルク州の地域バイオマスセンターである。これは地域の森林所有者のグループが運営するセンターで、謳い文句は「高品質の木質燃料を安定的に顧客に提供する」ことである。半径20~30km程度の小地域で、木質バイオマスの地産地消を目指す興味深い事例だと思う。
オーストリアの森林面積は約400万ヘクタールで、うち約80%が私有林だが、その2/3は所有面積200ヘクタール以下の「中小私有林」である。小規模所有が卓越するのは日本と同じだが、日本と違うのは木材生産に熱心な林家が多いことだ。彼らの木材販売は間断的でロットが小さいから市場では不利な立場に置かれやすい。そこでかなり以前から、自衛策として共同出荷の体制を整え、大口の木材需要者と対峙する方式を採ってきた。