再エネ新時代における木質エネルギーの役割

いま求められているのは分散型熱電併給システムを定着させることだ

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ドイツやオーストリアのFITでは、小型の木質バイオマス発電に対する報償額を高めに設定している。その第一の理由は、発電コストが割高になることだが、それと同時に、分散型の熱電併給(CHP)システムを普及させるという政策意図も見逃せない。近年、構造用木材やパルプ用材の需要も増加し、木質原料の需給は逼迫の一途をたどっている。この貴重な資源を発電だけで使うのはもったいない。発電するなら廃熱も使うCHPで行くべきだという機運が欧州で広がっている。日本においても今後そうした機運が高まることはほぼ間違いない。この4月から実施されることになった小規模木質バイオマス発電の「別区分化」も、CHPの普及に役立ててこそ意義があると思う。

厄介な買取価格の設定

よく知られているように、蒸気ボイラ・蒸気タービンによる通常の発電方式では「規模の経済」が強く効いてくる。つまり、他の条件を同じにして、出力規模だけを小さくしていくと、発電コストは急角度で上昇する。ところがわが国の木質バイオマスFITでは、出力規模による買取価格の差別化がなされていなかった。モデルになったのは5MWの蒸気タービンプラントで、これをもとにして定められた買取価格が、規模の大小を問わず、すべてのプラントに一律に適用されていたのである。

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