経済産業省の「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(以下、貫徹委員会)では、電力システム改革についての(システム改革に逆行するかに見える)議論が足早に進行中です。貫徹委員会については既に本コラム連載でも評論していますが(「日本のエネルギー政策にフェアネス精神はあるか?」2016年11月14日掲載)、本稿では、もうひとつ別のテーマである「容量市場」についてスポットライトをあて、議論したいと思います。そもそも容量市場という聞き慣れない市場は何を意味するのでしょうか?
電力自由化により自由競争が進むと、電源の新設や維持に対する投資の意思決定も市場原理に委ねられます。将来必要な供給力や予備力(調整力)が十分確保できるかわからないと、最悪の場合電力の安定供給が脅かされ、大停電を引き起こすリスクがあると指摘されています。そのため、供給能力(kW)を入札などによって長期に確保する方法が「容量市場 capacity market」と呼ばれるものです註1。