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風力発電 大量導入への道

メガソーラーのトラブルと自律的ガバナンス

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3月14日付の拙稿「太陽光発電の事故防止と規制動向」において、太陽光発電の事故について取り上げましたが、今回はその延長線上にある太陽光発電のトラブルについて考えたいと思います。太陽光発電はその数が増加するにつれ「事故」も多く報告されはじめていますが、報道こそ大々的ではないものの、「トラブル」も多く発生していることが徐々に明らかになっています。

「事故」と「トラブル」の違いは何でしょうか。まず、発電設備の「事故」は法律文書によって定められており、経済産業省が所轄官庁として取り扱っています。それに対して、事故に至らない事象や周辺住民との「トラブル」に関しては定義が曖昧で、現在それを調査したり問題を解決する所轄官庁も一様ではなく、全貌の把握すら難しい状況にあるようです。

発電設備の「事故」は、電気関係報告規則(昭和40年6月15日通商産業省令第54号、最終改正:平成27年3月4日経済産業省令第9号)の第3条に定められており、これらの事故が発生したときは事故報告を指定された報告先(管轄産業保安監督部長ないし経済産業大臣など)に届けなければなりません。裏を返せば、同条に定められていないものは報告義務はありません。したがって3月14日付コラムでも指摘したとおり、仮にパネルを飛散させてもそれが発電所構内に留まっていれば、現行の規則では報告義務事項にはなりません。

もちろん、「事故」に至らない事例は報告しなくてもよいから一安心と済まされる問題ではなく、リスクマネジメントや予防保全の立場からはこのようなヒヤリハットこそ重く受け止めて改善を図らなければなりません。さらに不適切あるいは不透明な計画・運用により周辺住民に不安感を与え、摩擦を起こす事例も、可能な限り事前に予防することが望まれます。

この問題に対して行政や規制機関も対処に動きつつあるようですが、これまでのコラムでも述べたように、本来理想的には、規制者が新たな規制を強化する前に、民間や市場の力で自浄作用を発揮させなければなりません。太陽光業界には(もちろん風力も含む再エネ業界全体に)今まさにそれが求められています。

太陽光発電のトラブル事例

太陽光発電のトラブルに関しては、現在のところ公的に調査され公表されたものは見当たりませんが、このほど民間の研究機関から「メガソーラー開発に伴うトラブル事例と制度的対応策について」※注1という貴重な報告書が公表されたので、本コラムでも早速それを紹介したいと思います。

(※全文:4,065文字 画像:あり 参考リンク:あり)

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この記事の著者

安田 陽(やすだ・よう)

京都大学大学院 経済学研究科 特任教授

1989年3月、横浜国立大学工学部卒業。1994年3月、同大学大学院博士課程後期課程修了。博士(工学)。同年4月、関西大学工学部(現システム理工学部)助手。専任講師、助教授、准教授を経て2016年9月より京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座 特任教授。 現在の専門分野は風力発電の耐雷設計および系統連系問題。技術的問題だけでなく経済や政策を含めた学際的なアプローチによる問題解決を目指している。 現在、日本風力エネルギー学会理事。電気学会 風力発電システムの雷リスクマネジメント技術調査専門委員会 委員長。IEA Wind Task25(風力発電大量導入)、IEC/TC88/MT24(風車耐雷)などの国際委員会メンバー。主な著作として「日本の知らない風力発電の実力」(オーム社)、翻訳書(共訳)として「洋上風力発電」(鹿島出版会)、「風力発電導入のための電力系統工学」(オーム社)など。

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