昨年末は、送電線の空容量問題が多くのメディアで取り上げられました。筆者自身も問題提起を行なっている者の一人として、多くの方に関心を持ってもらうのは嬉しい限りです。一方、問題がセンセーショナルに取り上げられるほど、数値が一人歩きしたり表層的な問題に拘泥したりと、問題の本質から外れた議論も多くなってくるのも事実です。この問題の構造は重層的であり、全体が見通しづらくなっています。本稿では、この送電線空容量問題とは一体何か?なぜこのような問題が発生するのか?解決の糸口は何か?について論じていきます。
送電線空容量問題小史
送電線空容量問題は、つい最近にわかに発生したものではありません。すでに2016年5月の段階で、東北電力が青森・秋田・岩手の3県の地域全域に亘って「空容量がゼロ」であることを発表しています(東北電力ホームページ「東北北部における系統状況変化について」)。この時、再エネ業界には大激震が走りましたが、この問題を取り上げるメディアも多くなく、この問題が問題であることすら世間的にはあまり知られていない状況でした。
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