JAL、国内外で再生可能燃料「SAF」の調達と利用を拡大

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エアバスA350型機(出所:伊藤忠商事)
エアバスA350型機(出所:伊藤忠商事)

日本航空(JAL/東京都品川区)は11月7日、世界最大級のリニューアブル燃料(再生可能資源由来の燃料)メーカーであるフィンランドのネステ、また、ネステの日本地区総代理店である伊藤忠商事(東京都港区)と、SAF(持続可能な代替航空燃料)の調達に関する契約を締結したと発表した。

海外での取り組みとして、ネステとロサンゼルス国際空港でSAFを調達する契約を締結した。11月中のJAL定期便にネステが供給するSAFを搭載する予定。国内では伊藤忠商事とネステが製造したSAFを日本に輸入調達する契約を締結した。JALが11月18日に東京(羽田)~沖縄(那覇)線で運航予定の「サステナブルチャーターフライト」の燃料として搭載する予定。

また、今後の取り組みとして、伊藤忠商事と2023年度のSAF調達に向けた協議を行うための覚書を締結した。

ネステは、フィンランド、オランダ、シンガポールに製造施設を所有し、廃食油や動物油脂等を原料に、年間約10万トンのSAFを生産している。今後シンガポールとオランダの生産能力を増強し、2023年末までに年間約150万トン、2026年上期までに年間約220万トンのSAFを生産する計画を明らかにしている。シンガポールにおいては、2023年3月までに、年間100万トンのSAFを製造できる大規模製造施設を稼働させる予定。生産量の大幅な増加が見込まれている。

JALは、今後も海外と国内でのSAFの調達に向けて、Neste社と伊藤忠商事との取り組みを進めていく。

SAFの調達・利用をより前進

JALグループは、「2021-2025年度JALグループ中期経営計画のローリングプラン」において、2050年にCO2排出量実質ゼロの達成に向け、SAFの利用目標として、2025年度に全燃料搭載量の1%、2030年度に10%をSAFに置き換えることを掲げている。今回の一連の契約を通し、海外地区に加えて日本地区においてもSAFの調達・利用をより本格化させる。

今後も、海外におけるSAFの調達を目指し、自社とワンワールド アライアンスの航空会社とともに調達活動を加速させるとともに、国内においては、日揮ホールディング(神奈川県横浜市)らと3月に設立した有志団体「ACT FOR SKY」の活動を通じて業界の垣根を超えたオールジャパン体制で国産SAFの商用化と普及・拡大に取り組んでいく考えだ。

JALは北米地区においてはすでに、ワンワールド アライアンスメンバーとともにSAFの購入契約を締結している。2021年12月にはメンバー8社とともに、米国カリフォルニア州にある再生可能燃料製造会社のAemetis社からSAFを購入する意思を共同で表明した。米国サンフランシスコ国際空港において、2024年からの7年間にアライアンス全体で合計約130万kIのSAFを調達する計画で、同空港発のJAL定期便に搭載する予定。

また、2022年3月には、メンバー5社とともに、米国コロラド州にある再生可能燃料製造会社のジーボからSAFを購入する意思を共同で表明した。2027年からの5年間にアライアンス全体で合計約75万kIのSAFを調達する計画で、JALでは米国西海岸の3国際空港発の定期便に搭載する予定。

また、JALグループでは、2050年に向けてすべてのフライトをサステナブルなものとするために、SAF調達の取り組みに加え、SDGsに配慮した機内食の導入や使い捨てプラスチックの削減等も順次実施していくとしている。

伊藤忠は航空会社向けにSAFの供給を拡大

伊藤忠商事は2022年2月、Neste社とSAFの日本向け独占販売契約を締結し、このパートナーシップに基づきSAFの日本国内の安定供給に取り組んでいる。すでに羽田空港と成田国際空港にて、SAF輸入・品質管理から空港搬入までの国内サプライチェーンを構築し、航空機渡し条件での給油網を確立している。

今後はSAFの供給拠点を中部国際空港(2022年度予定)や関西国際空港(2023年度前半予定)にも広げ、国内外の航空会社向けにSAF供給を拡大していく方針だ。

国際民間航空機関(ICAO)総会において、航空機が排出するCO2を50年までに実質ゼロとする目標を掲げており、2024年以降は2019年比で排出量を15%削減もしくはオフセットすることを求めている。航空業界における脱炭素化の動きは一層加速して、今後は国内においてもSAFの流通量が増えることが見込まれている。

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