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謎多き車「プリウスPHV」の今後を考える

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2012年1月、トヨタは同社初のプラグインハイブリッド車(PHV)である「プリウスPHV」を一般向けに発売した。これは、ハイブリッド車(HV)「プリウス」をベースに、外部電源から充電を可能にしたものだ。

バッテリーにトヨタとしては初めてリチウムイオン電池を採用。容量を「プリウス」の3.3倍の4.4キロワット時に増量し、EV走行距離を26.4キロメートルに伸ばしている。この距離の範囲内ならガソリンを使うことなく、EVとして使用できるのである。実際、トヨタ自身、発売前後には、この車が「EVである」ことを強調していた。

「プリウスPHV」の発売当時の価格は、320万円(Sグレード)からだが、補助金(最大45万円)の活用により、275万円からの購入も可能になる。補助金前の価格で比較すると、元の「プリウス」の最低価格が217万円だから100万円程度高く、また、日産の純粋EV「リーフ」(バッテリー容量24キロワット時)の当時の価格376万円よりは50万円ほど安いレベルだった。

EV走行距離が長くなった

元になった車「プリウス」はベストセラーHVだ。「プリウスPHV」ではその「プリウス」よりも、モーター駆動での走行距離(EV走行距離)が長くなった。日産「リーフ」のような純粋EVではないが、短距離ならEVのように走行できる。一方、長距離用には、バッテリーが切れてからも従来のHVとして走行できるため、EVとHVの長所を併せ持つクルマであると言える。

プリウスPHV S

  1. 価格:320万円(2012年3月現在の価格)
  2. サイズ:4,480×1,745×1,490ミリ(全長×全幅×全高)
  3. プラグインハイブリッド燃費:ガソリン1リットル当たり 61.0キロ(JC08モード)
  4. ハイブリッド燃費:ガソリン1リットル当たり31.6キロ(JC08モード)
  5. エンジン最高出力:73キロワット(99馬力)/5,200rpm
  6. エンジン最大トルク:142ニュートンメートル(14.5キロ)/4,000rpm
  7. モーター最高出力:60キロワット(82馬力)
  8. モーター最大トルク:207ニュートンメートル(21.1キロ)

この「併せ持つ」というところがポイントである。つまり、うまく併せることができれば両方の長所を持つ「良いとこ取り」の車になるのだが、失敗すると、両方の短所が目立つ「虻蜂取らず」になってしまう可能性がある。そして、残念なことに、現在のところは、長所が十分に発揮されているとは言えない状況にある。

(※全文:2,318文字 画像:あり 参考リンク:なし)

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この記事の著者

村沢 義久氏
村沢 義久 (むらさわ・よしひさ)

 立命館大学大学院客員教授。東京大学工学修士。スタンフォード大学MBA。経営コンサルティング会社の日本代表、ゴールドマンサックス証券のバイスプレジデント(M&A担当)などを歴任の後、2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年3月まで同大学総長室アドバイザー。2013年4月1日より現職。現在の活動の中心は太陽光発電と改造電気自動車の推進。

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