累計100万件突破 国際物流で簡単に脱炭素が可能 DHLの画期的サービス『GoGreen Plus』とは

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国際輸送サービスを展開するDHL Express(本社・ドイツ)は、企業の国際物流における脱炭素を実現する『GoGreen Plus』という画期的な取組みをスタートした。『GoGreen Plus』はSAFを使ったソリューションで、シンプルかつ信頼性の高い証明書は、企業の様々な報告書に利用することができる。その詳しい内容を紹介する。

国際エクスプレス業界初SAFを活用した温室効果ガス削減ソリューション

『GoGreen Plus』は、SAFを活用し、顧客のスコープ3の温室効果ガス排出量削減をサポートするDHL Expressのソリューション・サービス。
仕組みはシンプルで、顧客はDHLのSAF購入への投資として、通常のDHL利用料金に加え、KG単価の追加料金を支払うことで参加することができる。その投資額に応じ、DHLから顧客へSAFによる年間排出量削減の証明書を発行する。

DHLジャパン株式会社
DHLジャパン株式会社
営業企画部
小島浩嗣氏

「国際エクスプレス業界としては初のサービスです。お客さまの利用頻度や企業規模に応じ、選択可能な3つのサービスラインナップを展開しています」(DHLジャパン営業企画部・小島浩嗣氏)

出所)DHL
出所)DHL

サービスラインナップとしては、貨物単位で輸送に関する温室効果ガスを30%削減する
「貨物毎選択モデル」、一律価格で10%・30%・50%・70%の中から排出量の削減を選択できる「GoGreen Plus - ベーシック」、10~90%まで自由に排出削減量を設定できる「GoGreen Plus - カーボンリデュース」を用意。希望の排出量削減度合いや、証明書の要否などを、顧客のニーズに合わせて選択可能だ。
SAFによる削減効果の分配については、Book&Claim方式を採用している。Book&Claimとは、日本語で帳簿と請求を意味する。DHLグローバル全体でのSAFの利用を1つの帳簿で管理することで、SAFの環境価値を切り離し、投資額に応じて顧客にメリットを振り分けている。

出所)DHL
出所)DHL

「これによって、SAFの調達場所や搭載航空機のSAF利用の有無に関係なく、DHL Expressのネットワーク内にある世界中のお客さまが、SAFによる直接的な削減効果を投資額に応じて得ることができる仕組みを実現しています」(小島氏)

信頼性を担保するため、この仕組みについては、RSB(Round Table of Sustainable Biomaterials)という国際的な非営利団体が認証し管理している。

“透明性の高いプロセス”も『GoGreen Plus』の特長の1つ。温室効果ガスの排出量、削減量の計算を含めた全てのプロセスは、スイスの認証機関であるSGS(Societe Generale de Surveillance)の認証を受けた独立機関が検証。透明性の高い数値やデータを最新のグローバル・スタンダードに基づき認証されたプロセスで計測し、排出量レポートや削減量の証明書を発行する。

排出量レポートは、DHL Expressを利用する全ての顧客が無償で利用できる。年間排出量から事業所別、貨物ごとの排出量まで、顧客ニーズに合わせデータの可視化が可能となっている。

「今年度中のオンライン化を目指しています。必要な時に必要なデータを手元ですぐに確認していただくことで、お客さまの脱炭素化への取り組みを、さらにサポートしていきたいと考えています」(小島氏)

出所)DHL
出所)DHL

『GoGreen Plus』4つのメリット業界のグローバルリーダーとして…

『GoGreen Plus』のメリットとしては大きく4つ。1つ目は〈手軽さ〉。DHL Expressのグローバルネットワーク内ならどこでも利用でき、通常サービス料金に対するKg課金形式で手軽に参加できる。2つ目は〈確実性〉。SAFを使った温室効果ガス排出量の直接削減が可能。3つ目は〈即効性〉。計画を立て投資してから実際の削減まで時間のかかる再エネや電気自動車などと違い、契約完了後、削減効果を即座に得ることができる。4つ目が〈透明性・分かりやすさ〉。SGSの認証を受けた排出量、削減量計算、証明書で、成果を社内外に分かりやすく見せることが可能だ。

「実際に『GoGreen Plus』を導入したある企業の経営者からは“少ない投資で確実なアクションが取れるという意味で、非常に有効なソリューションだと認識している”といった声も寄せられています。他にも“企業価値の向上につながった”“成果が見える化されたことで脱炭素化へ向けた社内のモチベーションが高まった”といった声もいただいています」(小島氏)

出所)DHL
出所)DHL

国際輸送のグローバルリーダーとして、物流と環境の両立にチャレンジするDHL。

「物流の脱炭素については、SAFの利用に伴うコスト増をいかに社会全体で分担するかがカギとなっていきます。そういう意味で重要なのが『GoGreen Plus』のような仕組みづくりかと思います」(小島氏)

SAFの特性と顧客のビジネスを消費者も含め有機的につなげていくソリューション・サービスが『GoGreen Plus』

「このサービスをきっかけにSAFの利用が拡大する、ユーザーの裾野が広がり、また同様のサービスが業界全体で展開されることで利用者にとってのコストが下がる。このサービスが物流と環境の両立を実現するひとつのヒントになればと思います」(トニー カーン社長)

グリーンロジスティクス実現へDHLグループが取り組む野心的な気候変動対策

国際物流のグローバルリーダーとして世界中で事業を展開するDHL。2008年にロジスティクス業界で初めて定量化可能な気候保護目標を設定して以来、15年以上にわたりグリーンロジスティクス実現へ向けた取り組みを進めてきた。2017年には、2050年までにネット・ゼロ・エミッションを目指す『MISSION 2050』を策定。昨年末、DHLグループから発表された新経営戦略の4本柱には、「選ばれるグリーンロジスティクス」が追加されており、環境対策へのコミットメントに対する強い意気込みが示された。

DHLグループでは、〈気候保護のためのクリーンオペレーション〉〈すべての従業員にとって働きがいのある職場となること〉〈優れたガバナンスを備えた信頼性の高い会社であること〉 をグループ全体のサステナビリティコミットメントとして掲げている。

「気候変動の懸念や影響が高まるなか、ビジネス環境は急速に変化しています。我々は効率的で信頼できるサービスを提供するだけではなく、事業運営を持続可能なものにしつつ、次世代により良い地球を残す必要があります。環境はもちろん、組織としての持続性、社会のなかでの永続性を確保していくため、いわゆるESGにフォーカスした取り組みを進めています」(DHLジャパン社長・トニー カーン氏)

DHLジャパン株式会社
DHLジャパン株式会社
代表取締役社長
トニー・カーン氏

サステナビリティ戦略のなかでも〈気候保護のためのクリーンオペレーション〉においては、(1)持続可能な航空燃料(SAF)、(2)航空機への投資、(3)イノベーションの推進の3分野 で取り組みを進める。持続可能な航空燃料については、2030年までにSAFの混合率を30%以上にすることを目指す。さらに 今年1月にはコスモ石油マーケテイングと年間720万Lの国産SAFの調達契約を締結した。この合意で調達されるSAF燃料は中部国際空港にて供給されることとなり、これにより、同空港はDHL Expressのグローバルネットワークで活用する500以上の空港の中でアジア初となるSAF調達空港となった。一方でSAF対応可能で燃費の良い最新の航空機材の導入も進めている。

DHL ジャパンでは、2022年に東京ディストリビューションセンターへ再エネ(太陽光発電システム)を導入したほか、ラストワンマイルの配送に電動車両(車両・電動三輪車・電動バイクなど)の導入を推進。顧客に向けては、SAFを活用した温室効果ガス排出量削減へ向けた新たなソリューション・サービス『GoGreen Plus』の日本への本格導入を2023年7月より開始している。

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