CoinPost代表・各務氏に聞く

web3カンファレンス「WebX」が目指すもの

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(出所:CoinPost)
(出所:CoinPost)

暗号資産・web3メディアの「CoinPost」が2023年7月25・26日にアジア最大級のグローバルWeb3カンファレンス「WebX」を開催する。主催のCoinPost代表取締役の各務貴仁(かがみ・たかひと)氏に「WebX」開催の目的・展望を聞いた。後編はこちら(前編/前後編)

「越境」をキーワードに国内のweb3領域を発展させる

WebXは、「日本をアジアのWeb3ハブとして位置づける」ことを目的に、web2・web3のプロジェクトや企業、投資家、政府関係者、メディア、一般来場者が集うアジア最大規模のグローバルカンファレンスとして開催される。ステージプログラムには「同時通訳システム」を採用し、海外の有識者が数多く登壇するほか、日本国内からは首相の岸田文雄氏、衆議院議の平将明氏、Astar Network/Startale Labs CEOの渡辺創太氏らが登壇する。また、パートナー企業にはweb3企業だけでなく大手企業も名を連ねる。

開催にあたっては2022年11月から準備を進めてきたといい、経緯について「web3領域の発展には、官民とビジネス領域の連携や、国家間の交流が不可欠だと個人的にも会社としても以前から考えていました」と各務氏。

web3分野において日本は、日本政府の方針策定や大手企業の参入を背景に、世界から注目が集まっている。しかし事業環境や情報などの面で後れを取っているという声もあった。

web3領域では「越境」が重要なトピックであるにもかかわらず、今までの日本のweb3領域では、日本の中で日本の情報のみがやり取りされており、グローバルの動きを捉えにくいという懸念があったという。

「今の状況下では、ビジネスを促進する、あるいは政府が政策方針を動かす際にずれた方向性に進む危険性があります。また、web3分野に馴染みのないの方にとっては、暗号資産やNFTなどの知識や情報がないと、自分で判断できないという部分がありますので、そういった全体の課題を解決したいというところも含めて、国内外から人が集まり、政府や国内大手企業、web3事業者が全員でコミュニケーションがとれる環境を実現するため、WebXを開催する運びになりました」

「興味・関心」から「実務フェーズへ」

パートナー企業には、web3企業から国内大手企業まで多くの有名企業が名を連ねている。また、企業だけでなく東京大学などの教育機関や、後援として大阪府などの自治体も参加する。

それに対して「web3への関心が、実際の利活用フェーズに進んでいることの現れであり、カンファレンスとしては、事業者ニーズが高いと感じています。海外では日本のような規制や法整備がしっかりした国でビジネス展開したいニーズは高いですし、日本でも事業を立ち上げる際により幅広い事業者との交流や情報をキャッチアップできる場のニーズがあるので、双方が企業のスポンサーやサポーターリストに繋がっているのだと思います」と各務氏。

一方でこれからweb3へ参入する企業のニーズも見据えている。WebXでは、どちらの需要を受け止められるよう、グローバルのステージでは、ビジネス利活用に関する踏み込んだテーマ、国内のステージでは大手企業を中心に、web3の基礎知識を得られるトピックで入門部分をカバーできる構成になっている。

グローバルな情報共有の場でありながら広く開いていく

新型コロナウイルス関連の規制が解除されたこともあり、web3関連イベントの数は、国内外で急速に増加している。その中で選ばれるイベントとして、魅力的な参加企業を集めるためのアピールが重要であり、需要や競争率の高まりに対応する必要があるという。

WebXは、日本にいながらグローバルな展開を行い、海外の著名人が登壇すること、また、政府や大手企業が参加し、ビジネスに関連したカンファレンスとして位置付けているという2点で、他のイベントとは一線を画すものとなっている。

各務氏は、「これまでweb3分野のイベントというと専門的な話が多く、理解が難しい部分も多かったと思いますが、WebXは広く開かれた場にしたいと考えています。興味はあるが詳しくない人や情報をキャッチアップしたい人も気軽に参加できるような環境を作り、いずれはweb3以外のことにもテーマを広げながら最新のトレンドを提供する場として展開していければと思います」とweb3の裾野を広げていきたい考えを語った。

WebXが日本に与えるインパクト

WebXは来場者15,000人以上、参加企業数2,000社以上を見込んでいる。規模もさることながら参加する企業や人物の影響力は大きく、web3業界に大きなインパクトを与えることは明白だ。

各務氏が予想するインパクトとして、一つ目はweb3の理解の促進だという。「まず私達のカンファレンスが与えられるインパクトとしては、日本の中でweb3の議論を、より明確に見えやすい環境を作れると思っています。web3領域はまず技術を理解しないと、参入しづらい業界です。単にバズワードや流行りではなく、産業に寄り添った形で理解できるようなカンファレンスとして開催できるのではないかと思っています」

二つ目は、海外事業者との交流によって、意見交換の場の醸成ができることだ。「web3はオープンなマインドを持つ業界であり、ブロックチェーン技術によって情報が公開されることが特徴です。海外では情報開示に関して積極的な取り組みを行っている事業者が多く、ビジネス交流の場の中でビジネスが生まれるケースは多くあります。一方で例えば日本の金融業界では競争が激しく、情報開示が十分に行われにくい状況です。意見の交換や、自分たちの考えていることの壁打ちができる環境というものが、WebXを通して日本の中で根付いてくると、地に足がついたサービスが出てきて、NFTやweb3といった言葉を意識せず使えるものが広がっていくと思っています」

WebXは今後、年次イベントとして、グローバルな人材が日本に集まる場を目指すという。web3というテーマのみならず、次年度以降はweb3、AI等の最先端領域と既存ビジネスの掛け合わせをテーマとして発展していきたいとしている。カンファレンスは2023年7月25日から二日間、東京国際フォーラムで開催される。

後編では、各務氏が注目しているweb3領域や今後の展望について聞く(後編はこちら)。

各務 貴仁氏 株式会社CoinPost 代表取締役社長
各務 貴仁氏 株式会社CoinPost 代表取締役社長

WebXとは

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