エナリスら、日本酒製造の再エネ使用実績をNFT化

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「再エネデジタルアート」イメージ(出所:エナリス)
「再エネデジタルアート」イメージ(出所:エナリス)

エナリス(東京都千代田区)は8月23日、ブロックチェーンを使ってトラッキングした、日本酒製造工程で使用する再生可能エネルギー使用実績データを基に、NFT(Non Fungible Token:非代替性暗号資産)を発行し、その有効な活用方法を検証する実証事業を実施すると発表した。8月から大和川酒造店(福島県喜多方市)と協働で行う。

今回の実証では、エナリスのブロックチェーンプラットフォームを使って記録した日本酒の製造工程の再エネ使用実績データと大和川酒造店の画像データ等を組み合わせてデジタルアートを制作し、NFT化する。どこで生まれた再エネを、いつ、どれだけ使用したかなどの情報によってデジタルアートの仕上がりは変わるため、NFTの仕組みと掛け合わせ「再エネ使用を証明する唯一無二のデジタルアート」が発行されることになるという。

また、「再エネデジタルアート」の発行に留まらず、NFT化したデジタルアートの売買ができるNFT取引市場でどれくらいの価値がつくのか、あるいは日本酒を購入した顧客への付加価値として有効かなど、その活用方法についても検証を行う。

エナリスによると、ブロックチェーンを使ってトラッキングした再エネ使用実績のNFT化は、日本で初めての試みとなる。エナリスは、再エネ価値のNFT化によって、脱炭素社会の実現に寄与する新しいビジネスモデルの構築を目指す。

(出所:エナリス)
(出所:エナリス)

NFTとは

NFTとは、コピーできない唯一無二のデジタルデータをいう。ブロックチェーンの仕組みを利用して、「データがオリジナルであること」と「データの所有者が誰であるか」を証明できる。NFTはアートやゲームアイテムの購入などにも使われており、デジタルデータに資産的価値を与える技術として注目されている。エナリスの調べによると、NFTの取引市場は、2022年度約4,200億円規模から、2027年までに約1兆9,000億円規模にまで成長すると言われている。

環境貢献価値を軸とした新ビジネスのきっかけに

脱炭素社会実現を目指した取り組みの一つに、個別製品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体を通した温室効果ガス排出量を表示する「カーボンフットプリント(CFP)」があるが、見える化や消費者への訴求が難しいことなどが課題となっている。

エナリスでは、今回の再エネ使用実績のNFT化の技術を将来的に個別商品・サービスまで落とし込むことによって、CFPの課題解決にもつながるものと考えている。さらに、「環境貢献価値の所有」を実現することによって、消費者側の環境貢献価値への意識を変え、環境貢献価値を軸とした新しいビジネス発展のきっかけになることを期待しているという。

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