三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)は2022年9月7日、新型「eキャンター」を横浜市内で世界初公開した。
キャンターといえば、日本では60年代の経済高度成長期から近年までの長きにわたり、小型トラック分野で広く普及してきたことで知られている。
欧米や東南アジアなど海外でも需要が多い、三菱ふそうにとって重要なモデルである。
こうしたキャンターの電動化については、2000年代から基礎研究をはじめ、2017年に初代「eキャンター」を発売し、これまでグローバルで約450台を販売している。
近年では、企業が財務状況のみなら環境・ソーシャル・ガバナンスを重視する、ESG投資での観点からEVなど電動車の導入や使用に積極的な姿勢を示すなか、eキャンターの販売数が上昇傾向にある。
そうしたなかで登場した新型eキャンターの特長は、後輪部分にモーターや制御装置を集約したeアクスルを採用した点だ。
これにより、車両の種別を広げるための設計上の自由度が上がり、国内市場向けでは28型式への対応が可能となった。
使用する電池のセルは、今回から中国大手のCATL製とし、ひとつの電池パックの電池容量は41kWh。最大で3つの電池パックの装着が可能で、その場合は満充電で航続距離は約200kmを確保している。
回生ブレーキは4段階のレベルに制御でき、電費が上がることはもとより、荷物の積載量に応じて的確な減速を行うことでドライバーの運転負荷を軽減することにもつながるという。
そのほか、高度運転支援システム(ADAS)についても新たなる技術を用いた。
たとえば、国内モデルで標準装備とした「アクティブ・サイドガード・アシスト1.0」では、交差点の左折時の巻き込み事故を予防するため、レーダーによる歩行者や二輪車などの感知を行い、警報音とランプでドライバーに注意を促す。それでも、走行が続き、時速20km以下になると被害軽減ブレーキによって車両を緊急停止させる仕組みだ。
またドライバーの様子を車内でモニタリングする「アクティブ・アテンション・アシスト」では、ドライバーの顔の動きや眼の開閉状態を感知して、わき見運転や居眠り運転に対する注意喚起をドライバーに行う。
今回の発表では、車両概要の紹介に留まり、販売価格については未公開だった。
三菱ふそうによると、「初代eキャンターはリース販売のみだったが、市場の声を受けて新型では売切り型も導入予定だ」という。