EV(電気自動車)の性能を大きく左右するリチウムイオン二次電池。その価格についてはこれまで、高値安定が続いてきた。EV販売量が伸び悩むなか、量産効果による価格低下が難しいと言われてきたが…。もしかすると近年中に、価格破壊が起こるかもしれない。
「三重苦」のうち、充電インフラは当面、変化なし
航続距離、充電インフラ、そしてリチウムイオン二次電池の価格。
これを自動車業界では、「EVの三重苦」と呼ぶ。
このうち、充電インフラについては、日本vs欧米の図式で、2者間は硬直状態が続いている。日本側は、直流での急速充電方式で日本が推進する「CHA de Mo」。欧米側は、主要自動車メーカーがコンソーシアムを作り、直流と交流の充電コネクターを一体化した「コンボコネクター」を推奨している。そうしたなか、日本で今年販売が開始されるBMW「i3」は、日本向けとして「CHA de Mo」仕様に対応した。こうした急速充電インフラでの"つば競り合い"は当分、続くと見られている。
そもそも、欧米自動車メーカーはEVの設計理念として、急速充電を重視しておらず、自宅や会社での交流100~240Vによる"普通充電"を前提としている。これは2000年代中盤以降、欧米自動車メーカーが世界各地のモーターショーやEV関連シンポジウムで一貫して説明してきたことだ。
また充電インフラとはその名の通り、社会インフラであり、世界各地域での街の構造に大きく左右される。また、国の施策によって大きく左右されるが、各国での充電インフラは当初のロードマップに対して未達のケースが目立つ。これは、いわゆる「鶏と卵」の関係において、EVの販売量が伸び悩むなか、充電インフラ整備も遅れ気味となっている。
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