燃料課税と暫定税率の仕組み
ガソリンや軽油など、自動車の燃料に関係する税金は「燃料課税」と呼ばれる。ガソリンの場合、国税として1リットルあたり揮発油税48.6円と地方揮発油税5.2円の、合計53.8円の税金がかかっている。
このうち、旧暫定税率と呼ばれるのは25.1円分に相当する。燃料課税は1954年、道路財源として設定されたもの。その後の道路整備計画の中で何度か改正され、一般財源化もされたのだが、そうした過程の中で暫定的な税率として先送りされてきた。
価格変動に応じて課税が変わるトリガー条項の現状
また、暫定税率を条件付きで解除する施策として、トリガー条項がある。レギュラーガソリンの全国平均価格が、3カ月連続で1リットルあたり160円を超えた場合、暫定税率分の課税を停止する。また、価格が下がり同130円以下になると暫定税率が復活する仕組みだ。
また、 ディーゼル車向けの軽油でも同様の措置となる。ただし、東日本大震災における復興財源を考慮するため、トリガー条項は凍結されている状態が続いている。
カーボンニュートラルやエコカー減税を背景に、自動車関連税制はどう進むか
今回の三党合意では、ガソリンなど暫定税率の廃止について記載はあるものの、トリガー条項の取り扱いについては詳しく公開されていない。また、ガソリンなどの暫定税率を廃止する時期についても、本稿執筆時点では三党協議、または与党税制調査会の議論の詳細は正式には明らかになっていない。ただし、与党税制調査会は2023年12月22日に公表した、令和6年度税制改正大綱の中で触れている。
それによれば、「自動車関連諸税の見直し」については「2050年カーボンニュートラル」という大局的な見地に加えて、電動化など次世代技術の発達を含めて、中短期と長期の双方の視点で取り組むべきとしている。
特に中短期としては、「次のエコカー減税の期限到来時までに検討する」と具体的な期限を示したのだ。具体的には、令和7年度末(2026年3月末)を指す。
こうした自動車関連諸税の見直しについて、自動車メーカーなどでつくる業界団体の日本自動車工業会では10月に、自動車メーカーの創意として見直し案を対外的に公表している。ただし、その中身は車体課税について触れているだけで、燃料課税については自動車工業会が直接関与する領域ではないとの判断から、具体的な指針は示していない状況だ。
そのため、車体課税と燃料課税の見直しをセットで行うのは、与党税制調査会ということになるだろう。ガソリン減税が実施に向けてどのようなプロセスを踏むのか、今後も関連取材を続けていく。
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