ホンダの「知能化マイクロモビリティ」が世界初公開された。
ホンダは2022年7月に茨城県常総市と「AI(人工知能)や知能化マイクロモビリティを活用した『AIまちづくりに向けた技術実証実験に関する協定』の締結を発表していた。
今回は、実際に常総市内にあるホンダ専用の仮設テストコースで、報道陣が実際の車両が動く様子を見たり、実験車両に乗車するなどの体験取材会を実施した。
これらの低速移動体は、ホンダが協調人工知能「CI(コーポレーティブ・インテリジェンス)」と呼ぶ技術をベースとしている。
搭載されるコア技術については、大きく2つある。ひとつは移動を目的としているユーザーと、低速移動体がお互いの考え(意図)を理解してコミュニケーションを取る技術だ。
実際のデモンストレーションでは、1人乗りの小型移動体「CiKoMa(サイコマ)」に対して、ユーザーがスマートフォンを使って迎えにきてもらうシーンを再現した。
その際、待ち合わせ場所を少し変更しても、サイコマがユーザーの姿をしっかり認識して対応し、さらに周囲の道路環境を確認したうえで、より安全な場所で乗車することを提案してきた。
もうひとつのコア技術が、地図レス協調運転技術だ。一般的に、自動運転をする場合、クルマなどの移動体は何らかの地図情報を持っていて、そこに対して自車に搭載するカメラやレーダーなどのセンサーを使って周囲の状況を把握して地図情報と照らし合わせることで走行する。
これに対して、ホンダの新技術は、車載のカメラを介してクルマのシステムが周囲の道路構造物の位置関係を理解することで走行ルートを決める方法だ。
実際に試乗してみたが、とてもスムーズな動きで走行する。車内のジョイスティックを動かすと、自動運転なのに、ドライバーの意思を優先して交差点で右左折してみせた。
そのほか高齢者などの買い物時の支援を念頭に置いて研究中の、マイクロモビリティロボット「WaPOCHI(ワポチ)」が動く様子も見た。
ユーザーが手のひらの静脈認証を行うと、ユーザーの服や髪の毛の色、背格好などの特長を理解して、人混みでもしっかりと追尾してくる。
こうした各種の知能化マイクロモビリティの実証実験を、常総市内では2022年11月から「水海道あすなろの里」で、また2023年春開業予定の農業・商業・観光の複合施設である「アグリサイエンスバレー」で行うことが発表された。
社会実装に向けた動きが、これから本格化していく。