
ハイパフォーマンス、しかし重量ゆえの燃費
今回の目玉はBEV(バッテリー駆動の電気自動車)である。四輪それぞれに交流同期モーターを備える四輪駆動車で、モーター1基の出力は108kW。クルマ全体としての最高出力は430kWで、Gクラス最高峰でハイパフォーマンスな排気量4LのV型8気筒ターボエンジンを積むAMG G63とほぼ同格の数値だ。最大トルクで比較すると、AMG G63の850Nmを大きく凌ぐ1164Nmもあるから驚きだ。それでも、車重はAMG G63より450kgも重い3120kgという3トン超えの重量車である。
車体構造は、歴代Gクラスと同じく本格的なオフロード走行に耐えるためのラダーフレームを採用。その中央部、つまり車体の床面に2階層でリチウムイオン電池を組み込んでいる。バッテリー容量は116kWhとかなり大きいが、満充電での航続距離は530kmにとどまる。3トン超えのクルマとしてはそれなりの燃費にならざるを得ない。
フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン式の独立サスペンション。リアサスペンションは、リジットサスペンションとした。4つのモーターは2段階ギアボックスを採用している。極低速走行向けのLow Rangeではギア比が通常の1:11から1:21となる。
走行環境に応じて、ドライバーが走行モードを切り替えることができるが、コンフォートモードにすると後輪のみのモーターを駆動することで電費が向上する。
なお、排気量3Lの直列6気筒ディーゼルターボエンジンを搭載する「G450d」はフロント、センター、リアの3つのデファレンシャルギアをロックする機構があり、急斜面の岩場など過酷な走行環境に対応する。

ソフトで扱いやすい乗り心地
今回は、クローズドの本格的オフロードコースや近隣の一般路でG580を中心に各種Gクラスと乗り比べた。感想としては、オフロードではソフトな乗り味に感じるほど、動きがスムーズ。一方、オンロードではアクセル操作に対する出足の良さは強いが、けっして荒々しさはなく扱いやすかった。
各種Gクラス日本仕様のメーカー希望小売価格(税込)は、G580(Edition 1)が2635万円、G450d(Lunch Edition) が2110万円、そしてAMG G63(Launch Edition)が3080万円となる。